コイル(プローブ)の種別
渦流探傷装置の信号検出方式には、単一方式(アブソリュート)と自己比較方式(ディファレンシャル)、標準比較方式の3つ方式があります。このページでは、検出方式について詳しく説明します。
信号検出方式
信号検出方式には、単一方式、自己比較方式、標準比較方式の3つの方式があります。
単一方式(アブソリュート)は、1つのコイルを検査品に設置し、信号変化の絶対値を検出する方法です。
自己比較方式(ディファレンシャル)は、2つのコイルを隣接して設置し、その応答の差から探傷を行なう方法です。
標準比較方式は、2つのコイルを用い、一方を標準品に、もう一方を検査品に設置し、両者の信号の差から探傷を行う方法です。
信号検出方式 | 概要 | イメージ |
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単一方式 | 傷だけでなく、ワークの形状変化、コイルとワーク間の距離変化も検出する。 温度変化の影響を受け易い。 検査時の環境維持や適切な冶具が必要。 探傷能力は自己比較方式に劣るが、異材判別や材質判別にも使用できる。 |
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自己比較方式 | 2つのコイルを近接させて配置することで、温度変化やコイルとワーク間の距離変化等の外乱を、両方のコイルで同時に受ける事でキャンセルする。 緩やかに変化する減肉等は検出しにくい。異材判別や材質判別には使用できない。 |
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標準比較方式 | 2つのコイルを用い、一方を標準品に、他方を検査品に対応させる。 信号変化は単一方式と同じ。 探傷能力は自己比較方式に劣るが、異材判別や材質判別にも使用できる。 |
信号検出方式により欠陥の探傷信号が異なり、検査の目的によって得手不得手があります。
自己比較方式は、比較的ノイズが少なくクラック等の微細な欠陥の探傷能力に優れていますが、圧痕のような緩やかな形状変化の傷検出には適しません。また、プローブの走査方向(スキャン方向)に制約があります。
一方、単一方式および標準比較方式は、自己比較方式に比べてノイズや温度変化に不利ですが探傷に加えて、材質・異材判別にも用いる事ができます。
単一方式
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自己比較方式
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標準方式
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探傷信号 | ||||
特徴 | 微細な傷の探傷 | 不得意 | 得意 | 不得意 |
緩やかな傷の探傷 | 得意 | 不得意 | 得意 | |
スキャン方向 | 制約無し | 制約有り | 制約無し | |
ノイズ | 多い | 少ない | 多い | |
周辺温度の影響 | あり | なし | あり |