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導電率の測定

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渦流探傷器はきずの検出だけでなく、金属材料の導電率判定(材質判別)を行うこともできます。
しかも、塗装などの非金属膜に覆われていても判別できます。

ここでは、単一方式(アブソリュート)のプローブを用いて、導電率を判定する方法とその注意点を説明します。

測定方法

渦流探傷器に、以下の値を参考にして、必要項目の設定を行います。

周波数 ローパスフィルター ハイパスフィルター 感度 画面 プローブ
500kHz 100Hz 0Hz 40dB 位相平面 単一方式
(アブソリュート)

※上記値は代表的な値です。測定物の材質や使用するプローブ等に応じて適切に設定・調整してください。

画面
導電率計試験片

導電率計試験片

単一方式(アブソリュート)のプローブと、数種類の材質の違う金属平板基材を使います。 ハイパスフィルターは、0Hz(DC, OFF)とし、位相角は、任意の設定とします。

  1. プローブを測定したい導電率に最も近い金属板に当て、渦流探傷器の「ゼロバランス(NULL)を設定します。
  2. プローブを、数種類の別の導電率を持つ金属板に当て、信号の位置関係をそれぞれ記憶しておきます。
  3. プローブを被測定物に当て、その時の信号の位置から、どの金属板に近いかを判別します。

管理したい導電率の範囲で基準となる金属板や導電率計試験片を用意して、その中の平均値付近の金属板上でゼロバランス(NULL)を設定し、その他の金属板の信号がすべて画面内に収まるように感度を上げて調整を行うと、より高精度の測定ができます。

<注意>
渦流探傷器による導電率の判定は、既知の材料との比較判別になります。導電率の「値」を直接測定したい場合は、導電率計を使用してください。
また、渦流装置による導電率測定は、金属内の渦電流を用いて間接的に測定しているので、きずや残留応力などといった渦電流に影響を与える要因が他にある場合、指示値が同じであっても必ずしも同一の材質とは限らないこともあるので注意が必要です。

各種金属材料の抵抗率/導電率と渦流の浸透深さ

金属名 抵抗率
ρ(Ω・m)× 10-8
導電率
(%IACS)
δ=1.0mmの周波数
(kHz)
銀(47) 1.59 108.4 4.0
銅(29) 1.6 ~ 2.3 107.8 ~ 75.0 4.1 ~ 5.8
金(79) 2.35 73.4 6.0
アルミ7075-T0 3.6 ~ 3.8 47.9 ~ 45.4 9.1 ~ 9.6
アルミ7075-T3 4.1 ~ 4.6 42.0 ~ 37.5 10.4 ~ 11.7
ジュラルミン 3.4 ~ 5.5 50.7 ~ 31.3 8.6 ~ 13.9
黄銅 4 ~ 7 43.1 ~ 24.6 10.1 ~ 17.7
マグネシウム(12) 4.45 38.74 11.3
アルミ7075-T6 5.4 ~ 6.2 31.9 ~ 27.8 13.7 ~ 15.7
亜鉛(30) 5.92 29.12 15.0
コバルト(27) 6.24 27.63 15.8
ニッケル(28) 6.84 25.20 17.3
リン青銅 6.5 ~ 17 26.5 ~ 10.1 16.5 ~ 43.1
リチウム(3) 8.55 20.16 21.7
白金(78) 10.6 16.3 26.9
パラジウム(46) 10.8 15.96 27.4
スズ(50) 11.5 15.0 29.2
クロム(24) 12.9 13.36 32.7
鉛(82) 20.6 8.4 52.2
ハフニウム(72) 35.1 4.9 89.0
ジルコニウム(40) 40 4.3 101.4
ジルカロイ2 69 ~ 75 2.5 ~ 2.3 175.0 ~ 190.2
SUS304L 71 ~ 80 2.4 ~ 2.2 180.0 ~ 202.8
インコネル 90 ~ 98 1.92 ~ 1.76 228.2 ~ 248.5
水銀(80) 98.4 1.75 249.5
ビスマス(83) 107 1.61 271.3
マンガン(25) 185 0.93 469.1
チタン(22) 42.7 ~ 170 4.04 ~ 1.01 108.3 ~ 431.1
グラファイト 1,350 ~ 1,900 0.13 ~ 0.09 3,423.1 ~ 4,817.6

※資料により若干異なる場合があります。