磁粉探傷の測定原理
磁粉探傷試験は、磁気を利用して、表面きずや表面近傍(3mm程度まで)のきずを検出する方法です。
非常に小さなきずを発見することができ、さらに複雑な形状の部位でも検査することができます。
一方で、ステンレス、アルミニウム、銅などの磁石が付かない非磁性体の材料では検査することができず、鉄やコバルト、ニッケル等の磁石に引き寄せられる強磁性体にのみ適用することができます。
磁粉探傷試験では、試験体を磁化し、蛍光物質や着色顔料でコーティングされた磁粉を使用します。
磁粉は、きずの周りに集まり、集まった磁粉(磁粉模様)は、実際のきずの大きさの数倍から数10倍にもなります。このため、小さなきずも目視で確認することができます。
測定原理
磁石を鉄片や鉄粉の中に入れると、両端部に多く付着し、中央部分にはほとんど付着しません。これは、磁石の両端、すなわちN極とS極が最も吸引力が強いためです。(図1)
この磁石を2つに切り、N極とS極を別々にしようとしても、新たにそれぞれにS極とN極ができます。 さらに、磁石に切れ目を入れるだけでも、切れ目の両側はN極とS極となります。(図2)
この切れ目を入れた磁石に鉄粉をまくと、磁粉はN極とS極に集まりますので、両端だけでなく、切れ目にも鉄粉が集まります。(図3)
きずがある試験体を磁化した場合、先ほどの磁石の切れ目と同様に、きずの両側はそれぞれN極とS極になります。このため、磁粉を振りかけると、きずの周りに磁粉が集まり、きずの何倍もの大きさの磁粉模様が発生します。
さらに、磁粉探傷検査では、蛍光物質や染料で着色された磁粉を使用するため、簡単に磁粉模様を見つけることができます。
このように、磁粉探傷検査では、試験体を磁石のように磁化することにより、きずにN極とS極を発生させ、磁粉を吸着させて検査を行います。
測定手順
磁粉探傷試験は、次の5つの手順から成り立ちます。