亀裂深さの測定方法
亀裂深度計「ET-28」では、割れ(クラック)の無い健全部でゼロ調整を実施するだけで、すぐに割れ深さの測定が可能です。ただし、表示される割れ深さはおおよその値で、正確な測定には亀裂深さが既知の試験片を用い校正を行う必要があります。
ここでは、亀裂深度計「ET-28」を用いた割れ深さの測定方法を説明します。

1.材料タイプの選択・校正
1.1. 材料タイプの選択
「ET-28」には3種類の材料タイプがプリセットされています。測定対象に最も近い材料タイプを選択してください。
*材料タイプ「Aluminium」を選択した場合にのみ、表示分解能は0.1mmになります。電位差法により亀裂深さを計測しているため、アルミのように電気抵抗が小さい材料は測定精度が悪化するためです。その他材料タイプの表示分解能は0.01mmです。
材料タイプ | 該当する材料 | 分解能 |
---|---|---|
Magnetic steel | 鉄、鋼、鋳鉄 | 0.01mm(10mm未満) |
Non-magnetic steel | ステンレス、ニッケル合金 | 0.01mm(10mm未満) |
Aluminium | アルミニウム、銅、真鍮 | 0.1mm |
1.2. 校正
測定対象と同じ材料で亀裂深さが既知の試験片を保有している場合は、その試験片を用い校正を実施します。試験片がない場合は、この手順をスキップし次の「2.測定」に移ります。校正を実施しない場合、表示される亀裂深さはおおよその目安で、信頼性は高くありません。
「ET-28」の校正画面に入り、まずゼロ調整を実施します。ゼロ調整の詳細は「2.1.ゼロ調整」を参照してください。ゼロ調整実施後、1点目の校正を行います。ここでは1mm、2mm、5mmの3つの亀裂が入った試験片を用います。
プローブ先端の電極を1mm深さの亀裂を跨ぐように押し当てます。安定して測定値が表示されていることを確認し、ゆっくりとプローブを離します。測定値がそのまま表示されているので、その値を実際の亀裂深さに変更しエンターキーを押します。
下の例では1mm亀裂を測定時に、1.30mmと表示しています。キーパッドを操作し、1.00mmと入力しエンターキーを押します。


同様に2mmと5mmの亀裂も測定・入力します。「ET-28」では1~8の任意の点数で校正が可能です。校正結果は複数保存することができるため、いつでも呼び出すことができます。
2.測定
2.1. ゼロ調整
プローブ先端および測定対象の表面に汚れや油、水滴が付着している場合は、綺麗に拭き取ってください。
検査対象の健全部(亀裂やエッジから10mm以上離れた箇所)にプローブをあてます。ディスプレイ上に測定値が表示され、かつ測定値左上に適切に測定できていることを示す緑色の下矢印のマークが表示されていることを確認します。
ゼロ調整を実行すると、ゼロ調整画面が表示され、緑色のバーが下から上に順に積み重なっていきます。この間、プローブは安定的に押し付けてください。緑色のバーがすべて積み重なるとゼロ調整は自動的に完了します。


2.2. 測定
深さを測定したい割れにプローブをあてます。ディスプレイ上に測定値が表示され、かつ測定値左上に適切に測定できていることを示す緑色の下矢印マークが表示されていることを確認します。
プローブの接触状態や測定箇所の表面状態に表示値が影響を受けている可能性もあるため、少し場所をずらし何回か測定を繰り返します。安定して表示される値を亀裂深さとして採用してください。
